身近にある危険設計

重大事故が起こって、その背景として機械の設計に危険な点があったとなると、当然どうしてそれが放置されていたのかと非難が浴びせられることになります。
名古屋空港の墜落事故だったら、いきなり自動操縦装置が解除されてしまうという設計。
福知山線脱線事故だったら、速度超過防止装置が急カーブの手前に設置されていなかったこと。
しかしね、危険というのは事故が起こる前にはそうそうわかるものじゃないんじゃないかと、すぐ背後に置いてある家電を見て思いました。その家電とは、電子レンジ。
一般的な電子レンジには、潜在的に危険と思われる操作機能がついています。どんな機能のことだかわかりますか?
それは、扉を開けると自動的に停止する機能。
もちろん、作動中に扉を開けたらアウトです。中で飛び交ってるマイクロ波がどれほど破壊力があるかは、シャープペンシルの芯を5秒もチンしてみればよくわかることでしょう(爆発します)。
つまり、扉を開けるときにはレンジが作動中でないことを確認してからでないといけないわけです。もちろんユーザーが必ずそうするとは限らないから、作動中に扉を開けようとしたら、自動で停止するようになっている。つまり、この自動停止はあくまで使い手の失敗をカバーするものです。
ところが、ユーザーはそれが最後の守りだと知らずにその機能に慣れてしまいます。途中で止めるために扉を開けてしまう。偶然その自動停止機能がうまく動かなかったら、もうその後の守りはない、というのが常態化してしまうわけです。
言われてみれば危険ですね。

  • 気付いてないけれど危険なことはあるのだろうといつも考えておく
  • 電子レンジは、開ける前に止める

心がけたいです。
ちなみにその電子レンジですが、安全を考えるなら

  • 自動停止機能が働いたときはアラームが騒いで危険だったことをアピールする
  • 扉を開けることはできるが、いつもより抵抗が強い

などで、扉を開けて止めるという操作を日常的にしづらくするという対策があるとは思いますが、商品としては人気が出にくいでしょう。