首をひねるとき

健康食品だとか民間療法だとか新興宗教だとかの体験談によく出てくる文句で「医者も首をひねった」というのがあります。そこまで不思議な効果とか御利益があるのかと。
いやいや待て待て、首をひねるのがお医者さんの仕事ですから。教科書通りの患者さんなんか見たためしありませんから。どんな症例も大抵どこかヘンで、それでも首をひねりながら妥当と思える答えを出していくのがいつものこと。だから「誤診」って言う言葉は医療現場じゃほとんど使いません。正しい診断だったのかどうかあとから判断できることの方が少ないんだから。そのときの状況で妥当な判断だったかどうかしか言えないのです。
と言うわけで今日首をひねったのが丑三つ時頃に来た胸痛・呼吸困難のおっちゃん。ペースメーカー入って高血圧で糖尿病でと何が起こってもおかしくないんだけど、狭心症心不全も起こしてるわけじゃない。でもしっかり酸素飽和度は89%まで下がってる。じゃあ既往はないけど喘息? うーん。
その他にも夜中定期的に起こされるし、以前合わなかった抗生剤をうっかり使っちゃったりといいことなし。