これもホラー?

大場つぐみ小畑健の『DEATH NOTE』。前から面白いと薦められて読もうと思っていたんだけど、この手のホラーものって表紙のおどろおどろしさからなんとなく読む気にならなくて手を出さずにいました。しかし、部室に無造作に置いてあったのです、3巻まで。あたかもデスノートのごとく。
名前と顔さえわかれば誰で殺せるデスノートを手に入れて世界の犯罪者を粛清しようとするキラと、大量殺人犯といえる彼を追い詰めようとする捜査官"L"の全知全能を傾けた攻防戦。二人とも天才的な頭脳の持ち主なので、こいつらの思考は追いかけるだけで精一杯です。思い出すのが山岡壮八の徳川家康。これもすごくて、登場人物が軒並みものすごい頭のよさなのです。普通なら脇役の脇役みたいな人物でも、ついていくだけで精一杯の深い戦略を展開してくれる。読んでて疲れるったらありゃしません。家康にいたってはもう・・・説明不能。頭のいい登場人物を描くには、作者はそれ以上に頭がよくないといけない。こっちは登場人物についてくだけで精一杯。なんかすごい劣等感にさいなまれてしまうのです。でも面白い。むちゃくちゃ面白い。
で、DEATH NOTEはホラーものなのかと。ウィキペディアによれば、ホラーとは「観る者が恐怖感を味わって楽しむことを想定して制作されている」もの。これは、怖い作品かというとちょっと違います。じゃあ、ただのサスペンスなのか。ここで引き合いに出したいのが『リング』ですよ。あれも、原作は怖い作品じゃないです。貞子は井戸から出てきたりしないし。呪いとの知恵比べ。あれを現代和製ホラーの大代表というなら、DEATH NOTEだって立派なホラーだと思うんだけどな。