日本語はきっと不安定

エウレカセブンというSFアニメがあるのですよ。日曜朝の。
話の内容はばっさり省略して、人類がとっくの昔に地球を捨てて遠くの星で暮らしている遠い未来の話。
ところが、その遠い未来の遠い星の世界で、日本語が公用語なんですよ。いや日本のアニメで登場人物が日本語でしゃべるのは当たり前じゃないかとか思うなかれ、書類も看板もなにも全部日本語。たまに英語のロゴなんかもあるけど。そして、登場人物の名前は全員横文字なんだけど、それを全員カタカナで表記している。登場するマシンも横文字のものが多いけど、それも全部カタカナ表記。専門用語には「LFO」みたいなアルファベットの略語もあったり。
まあ、現代日本の言語環境に外国人が暮らしているのとほぼ同じような状態なのです。
変でしょう? そう、変なんです。
惑星全体が日本語圏なのに英語をデザインに使ったり、専門用語に使ったり。
いまの日本でそういう使い方が一般的なのは、英語圏という別の言語圏が存在しているからこそです。そう、現代日本語は単独では存在できない。
エウレカセブンの言語環境に感じた違和感は、単独では存在できないはずの日本語が、全然形を変えずに遠い未来まで存続していることへの違和感なんですね。
で、何が言いたいか。
他言語の存在に依存している現代日本語はたぶん安定していない。今後もどんどん姿を変えていくんじゃないかと予想しています。
例えば、古語はすごい安定していたんですよ。平安時代の書物と江戸時代の書物、文法はほとんど変わらない(多少、使われなくなった助動詞なんかはあるらしいけど)。
それが明治維新以来どうよ、明治の文章、昭和初期の文章、現代の文章、それぞれ全然違う。この勢いで変化しているとたぶん21世紀の文章はまた違ってくるんだろうなと思うわけです。
だから、旧字旧仮名遣い派と新字新仮名遣い派の論争にはやや距離を置いてしまいます。だって、新字新仮名遣いもたぶんそう遠くない未来に古い表記になっちゃうかもしれないんだから。もうちょい日本語が安定するのを待ってから議論した方がいいかな、と思っているのです。