夜を越えて

超スパルタ教育で知られる研修施設で管理者養成学校というのがあります。そしてそこの名物訓練には40キロ夜間行進訓練というのがあって軍歌風のテーマソングまであります。
http://www.shain.co.jp/firstvisit/yougo.htm#7
小学生向けのコースにしか参加したことがないのでそんな過酷なことはしなかった(青木ヶ原樹海を昼間に行進した程度)けど、テーマソングの歌詞の異常さから40キロ夜間行進の凄まじさは想像できていたつもりでした。
そして今日・明日の二日間で参加してしまったのが、40キロなぞピクニックに思えてしまう荒行、その名も100キロハイク! 北埼玉〜都心を約1000人が二日間で踏破します。・・・なぜか大部分の参加者が仮装して。初参加のおいらの仮装は、題して「明治書生気質」。ヤフオクで二束三文で手に入れた袴・着物・学帽の3点セットがもう似合いすぎて笑います。さあ、そして試練は始まった。

第一区間はたったの16キロ。しかも途中に休憩地点あり。長く歩くと飽きるなあ程度の感想しか出てきません。ただし、区間の終わりで告げられる言葉が「ゴールまであと100キロです!」。100キロハイクとは名ばかりで、120キロくらいあるのだ。

第二区間は20キロの田舎道。暑いわ足が痛いわで苦行の様相を呈してきます。30分の休憩を含めても4時間程度で踏破。ここで、巻き爪が痛み出した仲間が。途中休憩のときすでに悪そうだったんだけど、第二区終了時点で明らかに悪化。こういう場面ではどうしても判断を求められてしまうわけだけど、続行不可能を宣告するのは本当に悩ましいです。

第三区間は30キロ・・・。そう、区間長がどんどん伸びていく恐怖。第二区で十分辛かったのに第一区とあわせたくらいの道のりを、しかも夜の山道を行進していくってんだから気が遠くなります。所々に現れるコンビには、さながらパリダカのオアシスのよう。明かりに引かれた虫のように参加者たちがうずくまっています。足はすでに割れるような痛さで、コンビニが出てくるたびに休みたい気持ちでいっぱいになるけど、次に歩き出すときの大変さを考えると休憩は最低限で。しかし問題は痛いだけの足よりも、急速に消耗していくスタミナのほう。息が上がって吐き気がして。どうもこれは、歩き方の悪さと水分補給の不十分さがたたったよう。結局、仮眠所に到着したのは0時を回って深夜1時。これは、かなりハイペースの部類に入ります。4時を過ぎてからも到着するパーティがいたし。5時半には起床だというのに。

苦行の第三区間のなかで、この100キロハイクの目的であるワセダ魂の意味が自分なりにつかめた、そう思いました。単なる根性とか精神主義ではなく。それは力を与え合うこと。一人で歩いているなら挫折しているかもしれない、それでも仲間がいて歩いているから歩き続けられる。行き交うほかのパーティと声を掛け合って励ましあう。そのたびに湧いてくる力。あくまで他力本願ではなく自分の力で進むしかないけれど、力を引き出しあうことはできるんだ、そんな精神を得たのでした。

そして壮絶な行進は明日へ続く―−-…‥・ ・  ・