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意味のわかるオブジェクト指向(1) プログラミング言語は、巨大なシステムを開発するために進化してきた

意味のわかるオブジェクト指向

プログラムは書けるけどオブジェクト指向がどうもよくわからないという人に

オブジェクト指向の価値は多態性にある

ことを理解してもらうためにこの連載を書きます。このことが理解できたら、次はデザインパターンに触れて多態性がいかに役立つかわかるようになると、ものすごく理解が深まることでしょう(この連載の中でも、少しだけデザインパターンを紹介する予定です)。
連載では、ずっと昔のプログラミング言語の紹介から始めて、オブジェクト指向に向けて進化する中で何が変わったのかを解説していきます。この過程は(デザインパターンを学んでいくところまで含めて)まさに僕がプログラミングを学んできた過程そのものにほかなりません*1。自分では、自分はちょうどいい時代に生まれてちょうどいい段階からプログラミングを習得できたと感じているので、この過程を紹介する次第です。


プログラミングの初心者にとって、オブジェクト指向プログラミング(面倒くさいので、以下OOPと略そう)を取り入れた言語から学ぼうとすると、意味のわからない「おまじない」がとても多い。昔のマイコンのずっと原始的な言語でプログラミングを学んだ人の方が、自分が何を書いているのかよっぽどわかりやすかったはずだ。

JavaOOP言語)で書いた、「こんにちは!」と表示するプログラム
Class Hello{
  public static void main(String[] args){
    System.out.println("こんにちは!");
  }
}
※BASIC(原始的な手続き型言語)で書いた同内容のプログラム
10 PRINT "こんにちは!"

BASICのプログラムの意味は、「各命令行の頭には行番号を付けないといけない(上の例では「10」)」というルールさえ理解していればすぐに理解できる。それに対してJavaのプログラムは括弧がたくさんあり、行が字下げされていて、Class, Hello, public, static, void, main, String, args, System, out, とたくさん単語が並んでいる。こいつら、どういう意味?
やりたいことはprintln(これも、「ln」の意味がよくわからないけど……)だけなのに。println以外は全部おまじないだと思うしかない。これでは自分が何を打ち込んだのかもよく理解できない。

これらのおまじないの意味(と意義)を理解してもらうためのOOP講座なのだが、最も簡単なプログラムからこんなにおまじないだらけでは心がくじけてしまう。だからまず、心が折れないよう、次のことを頭に置いておいてもらいたい。

1.プログラミング言語は、巨大なシステム構築のために進化してきた

仕事としてプログラムを作る人たちも、昔はBASICのような原始的な言語で実務用のシステムを開発していた。しかし実務用の(複雑で巨大な)システムを開発していると、どうしても突き当たる問題というのがあった。それを解決するために言語の方が進化してきた結果が、おまじないだらけの現代の言語なのだ。簡単なプログラムは最初から念頭にないわけで、それが簡潔に書けないのはある意味当然のこと、と。

さて、そのプログラミング言語の進化のうち2大変革とも言える「構造化・モジュール化」オブジェクト指向を順を追って見ていくことにする。それを理解することで、オブジェクト指向の意味が自然に理解できるはずだ*2

次回:「スパゲティ・プログラム」

*1:過程そのもの、といっても関数プログラミングについてはまったく割愛します。またオブジェクト指向の中でもプロトタイプ型オブジェクト指向については省きました。どちらもとても面白いのですが、あしからず

*2:最後まで読んでもらうと、上のJavaのサンプルプログラムの中で、内側の括弧がモジュール化の産物、外側の括弧がオブジェクト指向の産物であることに気がつくと思います。にやりとしてください