クラシックって何さ

合唱音楽は、明らかにポピュラー音楽とは違います。新譜がCDTVで特集されたりなんてことは絶対にありません。でも、クラシックとは別の世界です。
合唱だけやってる人が自分はクラシック音楽をやっているという意識を持つことはあまりないし、一般的なクラシックファンが合唱曲に興味を持つこともまずないでしょう。(クラシックファンに「多田武彦のいい録音があったよ」と話しかけても、「誰それ?」と言われるのがオチでしょう)
もし合唱音楽がクラシックなら、最近作曲された曲は現代音楽の範疇に入ってしまうはずだけど、まさかNコンの課題曲を現代音楽だと思っている高校生なんていないますまい。
じゃあ合唱音楽って何なのか、そもそもクラシック音楽って何なのかってのが疑問になってきます。でないと定義ができない。
オーケストラが演奏するからクラシックだ、とか簡単には決められないですよね。映画のBGMだって演歌の伴奏だってオーケストラなんだから。
以前ライトノベルと純文学はどこが違うんだと考えてみたことがあるけれど、あれと似た考え方が使えるように思います。つまり、曲自体の特徴よりは、どの文化圏に属しているかで分類するのが合理的ではないかということ。
ポピュラーの文化圏とクラシックの文化圏は別々ですよね。
クラシックでは曲は演奏家と切り離されているけど、ポピュラーでは曲はまず誰かの持ち歌であって、別の人が歌うのは「カバーする」と言う。
ポピュラーでは新しい曲が次々発表され、古い曲は時代遅れになっていくけど、クラシックでは古い曲だからといって演奏されなくなることはない。
コンサートのマナーも全然違って、クラシックならおとなしく座って聴くものであって演奏中に騒ぐなんて論外だけど、ポピュラーでおとなしく聴いていようものなら浜崎あゆみにどやされちまいます。
合唱音楽がクラシックとは違うというのは、この文化圏が異なっていることだと言ってしまえます。これは吹奏楽なんかについても同じことが言えるんだけど。クラシック文化圏とかなり似ているんだけど、やや違うのです。
一番の違いは曲の新しさで、ポピュラーほどではないにしろ、新しい曲が次々発表されて古い曲は次第に忘れ去られていく傾向にあることなんかですね。
もうひとつはアマチュアリズム。クラシック演奏家に比べて合唱愛好家は明らかに多いのに、プロ演奏家の数で言うと多いのは圧倒的にクラシック演奏家です。
そういうふうに違いがあるから、別の文化圏を形成してしまっていると言ってしまえるわけです。
クラシックなのかポピュラーなのか、なのではなく、音楽にはクラシック、ポピュラー以外にもたくさん文化圏があって、合唱はそのひとつだ、ということですね。