安全弁

国や地方自治体の公共事業、特に何かを建てようというという事業にはすごい数の談合問題が絡みついています。落札価格が予定価格と毎回ほとんど同じという、少しも隠そうとしていないケースもたくさん。で、そういうケースでも摘発されるまでは発注側の担当者も談合の疑いとして対応することはあまりありません。
すると結果、「談合のせいで公共事業費が高止まりし、国民の税金を無駄に浪費している」と批判されることになります。公正な競争入札で値下げ圧力をかけろってことですね。
さて、だ。最近ニュースでは、その値下げ圧力に屈してマンションとかホテルを手抜きで建てた業者や建築士が袋だたきにされているわけです。そして価格競争によるモラル崩壊が語られています。
・・・矛盾していない? 値下げ圧力をかけろと言ったり、その圧力が問題だと言ったり。
今回の計算書偽造問題のようなあからさまな不正ならともかく、値下げ圧力は品質の低下に直結しています。適度な値下げ圧力が良いのだと言われるかもしれないけど、では「適度」の基準は? 
公共工事の発注先が入札価格で決まってしまうという制度ではその性質が特に出やすい。土建業者も担当者も、それがわかっているから入札制度を補完する仕組みとして談合を維持しているんでしょう。
過激な意見になりますが、公共工事の発注は公正な入札にするのではなく、座やギルドみたいな組合に発注するのを制度化してしまった方が安全だと思っています。