それにしてもあの人数はうらやましい

今年の演奏会シーズンはワセグリの定演から。午後いっぱい練習だったから後半からしか聴けなかったけど。
東京厚生年金会館は行くたびに思うんだけど、あの電飾された階段は上るときに目がチラチラしてすごい気分悪くなります。見た目も安っぽいし、ホントあの電飾はやめてもらいたい。
さて演奏。
第3ステージ『月光とピエロ』(清水脩)。男声合唱の定番中の定番。そして、おいらもこれまで知らなかったけど世界でも初めての「合唱組曲」なんだそうです。今では合唱曲が組曲になってるのは結構当たり前だし、当たり前すぎて「組曲」という言葉をタイトルに付けるのを避ける作曲家もいるくらいだけど、その形式を作り上げた曲なんだとか。
大人数編成が生きる曲です。ちょろっと危なっかしいところもあったけどまとまりもよく、悲しみとおどけの間で揺れる心がよく表現されていました。隣で聴いていた仲間は「あの人数ならもっと迫力出せたんじゃないの?」とやや厳しめ。その隣の仲間は「眠くなって寝てしまった」とさらに厳しめ。
第4ステージは『祈りの虹』(新実徳英)。戦後60年を意識した、不戦と平和を訴える曲。この手の組曲にはセオリーがあるようで、重苦しい曲を並べて、最後に明るい曲を持ってくることで希望を表現する、という構成のが多いです。IN TERRA PAXとか土の歌とか。当然、明るい最後の曲に人気が出るのでIN TERRA PAXも土の歌も最後の曲だけ有名です。土の歌の終曲といったらあれよ、大地讃頌
戦場や被爆地の阿鼻叫喚を描いた1曲目・2曲目は、ハーモニーはたまに無視して叫ぶ・がなる系の歌い方でした。これはたぶんわざとでしょう。狂気の表現だったんじゃないかな。
3曲目「ヒロシマにかける虹」は始まった瞬間に「あ、これは夜明けのイメージ?」と感じました。事実、歌詞が描いているのはまさに夜明けのシーン。全体的なクレッシェンドがかなり効果的だったということです。ただそのクレッシェンド、歌い出しの、つまりまだ夜明け前の場面のピアニッシモがどうにも芯が弱くて薄っぺらだったのが残念。これから太陽が昇ってくるっていうエネルギーに満ちあふれた闇を、濃ゆくて力強いピアニッシモで聴かせて欲しかった。それができるはずの合唱団なんだから。
第5ステージ・・・って、公式には存在しないんだけど、ワセグリの場合アンコールを何曲も何曲もやるので第5ステージと言っていい長さになります。途中からパートごとに横断幕なんか持ち出して(セカンドの横断幕、「これがSECOND Quality」だったよ、おいおい)。
最後の「遥かな友に」、あのソロはちょっと良くなかったぞ。ソロには合唱ほど音程の正確さは厳しく求められないけど、それにしても音程悪すぎて聴いてて気持ち悪いったらもう。団の持ち歌だからこそ最高の演奏を求められると思うんだけど。