ハリケーンから熱帯低気圧へ

米メキシコ湾岸に24日未明に上陸したハリケーン「リタ」は勢力を弱め、同日深夜までに熱帯低気圧に変わった。

ハリケーンと言えば熱帯低気圧の一種。日本では台風に相当するものです。台風が消滅するときは温帯低気圧になるもんでしょう。ハリケーンが熱帯低気圧に変わるとはどういう意味だ? もともとそうじゃないか、と調べてみました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%B0%E9%A2%A8
するとどうだ、これは風速によるクラス分けによるもののようです。風速が64ノット以上ないとハリケーンとは呼ばないらしい。これは日本でなら「強い台風」と呼ばれるレベル。これ未満だと、構造としては熱帯低気圧でもハリケーンと呼んでもらえなくなります。なるほど、それでただの熱帯低気圧と書かれたわけか。
しかしここで言葉の定義の問題が。日本では熱帯低気圧が風速34ノット以上あれば台風と呼び、それ未満を「熱帯低気圧」と呼びます。リタの風速が34ノット以上64ノット未満だと・・・実は対応する正式な日本語は存在しないことに。英語の国際分類ならハリケーンより弱いものに、TD(トロピカル・デプレッション)、TS(トロピカル・ストーム)、STS(シビア・トロピカル・ストーム)というクラス分けがあるけど。
そこで原文のニュース記事に当たってみましょう。

Hurricane Rita weakens to tropical storm

トロピカル・ストームになったのだと書いてあります。これは、風速34ノット以上のクラス。リタはまだ(日本にいれば)台風と呼んでもらえているクラスでした。
さて、台風が温帯低気圧に変わって消滅したというのがありますが、これは単純に弱まったという意味ではないようです。温帯低気圧は熱帯低気圧とは構造が違います。寒気団が入り込んで前線を作っているもの。寒気団は台風を動かしている熱エネルギーに乏しいので、前線が入り込むに従って勢力は衰弱します。中心まで前線が届くと温帯低気圧。ただ、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%B8%AF%E4%BD%8E%E6%B0%97%E5%9C%A7
をみると、寒気と暖気の温度差が大きければそのエネルギーによって温帯低気圧として再発達することがあるとか。なめちゃいけない。