売ってるのはだーれだ?

googleで「売国新聞」と検索すると、ある新聞社がトップで引っかかります。こういうのはgoogle爆弾と呼ばれていて、googleの性質を利用して特定のサイトにあるキーワードを結びつける裏技を利用して演出されているのですが。つまりは、そういう演出をしたいほどにその新聞社を反国家的だととらえる人がいるのだと読み取れます。
しかし、おいらは以前その新聞を購読していたけど、それほど反国家的だとは考えていません。むしろ購読した経験からすると、ネット上では一般的に愛国的だとされる読売新聞や産経新聞の方が国益に反するオピニオンを強く発信しているなと感じました。
国益というのは非常にやっかいな概念ですね。将棋のように最終的な勝敗があるわけではないので、各時点での局面を損か得か一概には決められません。ただし、かなり決定的なのは日本は交易と工業でしか食っていけない国だという点です。いわゆるシーパワーの典型。各問題の重要度はこの点に左右されることになります。
農業の重要性が高い大陸型の国と違い、日本にとって領土はあまり重要な持ち物ではありません(この点で、旧日本軍の拡張策は戦略的に意味が薄かったと言えます)。領土問題に関して強気な発言を繰り返す産経・読売新聞は日本の利益よりもプライドを優先しているように思えますね(すべて勝ち取ったところで得られる資源も国内需要に比べればたかが知れています)。
逆に重要なのは通商路と投資環境の確保です。外交において、日本がリーダーシップをとれなくても尊敬されなくても、これさえ確保できるならたいした損にはなりません。低姿勢外交はその手段のひとつとして十分使えるものです。それを「自虐」と呼んで避けるならそれは単に手を狭めるだけで戦略上は損ということになりますね。これもプライドしか優先しないやり方。
次に安全保障。読売と産経は口をそろえて「日米同盟強化」を訴えます。これが最も危険な主張。日本の、比較的自由に立場を取れるという有利さをわざわざ捨てる選択肢です。世界がどのような戦争状態になっても少なくとも日本が巻き込まれないという「安全」は、特定国に寄り添うことで実現するのが難しいのはすぐにわかります。寄り添った先が攻撃対象となった場合確実に巻き込まれますから。巻き込まれないように対応するためには、強国の均衡の中間点に位置取り、どの国からみても役に立つ存在である必要があります。たとえば、米国から見れば中国と交渉するための窓口、中国から見れば米国と交渉するための窓口。そういう存在になっていれば例え両国が紛争状態になったとしても、解決に必要な日本に手を出すことは両国ともできませんね。「米国に近寄りすぎじゃない?」と警告する方が安全保障上有利なオピニオンであると言えます。
こうした点をふまえて考えてみる。売国的なのはだーれだ? おいらは、現在の自民党政権の外交政策が非常に国益を損なっていると思っています。