平和は不安定

世界のどこにも戦争のない世紀なんて、有史以来ありませんでした。戦争なんてしちゃいけないと誰でも知っていることなのに。
世界から戦争をなくすることはできるのか。これは人類にとって最大かつ永遠の課題だと思っています。永遠の、ということはつまり、解決はできないだろうという予想も含んでいます。
そう思う理由が、以前読んだゲーム理論のモデルで、タカ派とハト派のバランスについての考察から。これでは、利害が対立したときに攻撃する者をタカ、譲ってしまう者をハトとします。譲った場合、利得を得ることができません。譲り合った場合は半分の利得しか得られない。ただし攻撃し合った場合は負けた方は大きなマイナスの利得となります。
このモデルでは、ハト派ばかりの世界もタカ派ばかりの世界も不安定となります。ハト派ばかりだったら、1羽でもタカが紛れ込むとタカは連戦連勝、大きな利得を得続けるのでタカ派がよりよい戦略と言うことに。かといって、タカ派ばかりの場合、ぶつかるたびに攻撃し合って各自が大ダメージを受けるので、戦闘しないでダメージも受けないハト派が一番得をします。
すなわち、安定している(=ハトもタカも同程度の利得を得られる)状態は、ハトとタカが一定の割合で混合した状態だと言うことになるのです。これは、世界中に常に平和な国ばかりがあるわけではないという現実に通じるものがあります。
戦争を、単なる利害対立の結果とだけとらえることはできないのでこれは必ずしも適切なモデル化とは言えないかもしれないけれど、少なくとも戦争のない世界というのが仮にできたとしたら、そこは軍事力を背景に国益を得ようとする国にとって圧倒的に有利な状況になり、それは結局戦争を誘発する原因になると考えられるのです。