本格派

前に聞いたことがあったんだけど、欧米なんかでは外国の歌を歌うとき外国語のままで歌うことは滅多にないとか。大抵は自国語に訳して歌います。「天使にラブ・ソングを2」で第九を"Joyful, Joyful"と英訳して歌ってたのなんかは聴いたことある人多いかも。あれには日本語版の訳詞もあるけど、本格的なコンサートで日本語版を歌うなんてことちょっと聞きません。日本人は、外国の曲を外国語のままで歌うのです。
それを知ったときに、なんか外国かぶれのようでいやだなあと感じたものでした。意味もわからないくせに原語で歌って本格的なんだと勘違いしているようで。
ただ、もう少し事情を知るとまた考えも変わってきました。今練習している「詩篇23番」、これの楽譜には歌詞(ドイツ語)の誤植がいくつかあるので気付き次第訂正しないといけません。ところが、正しい歌詞の確認というのがものすごく難しいんだそう。なぜなら、現代のドイツでは歌詞が現代語訳されてしまった楽譜しかなくて、作曲当時の歌詞が振られた楽譜というのが出回っていないから。外国語どころか、自国の古語でさえ訳して歌うのが当たり前なのです。ちょっと日本人の感覚からすれば信じられないことだけど。
それを聞いて、これは単に考え方の違いだな、と納得。日本人は別に外国かぶれして原語で歌おうとするんじゃない。「あるがままをいじらない」のが日本人にとっての本格、欧米では「最適な形に」が本格だ、ということなんでしょう。