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『企業戦士YAMAZAKI』

感想

水戸黄門が最後に将軍家のご威光で悪者を全員ひれ伏せさせるあの爽快感、あれを現代で再現するにはどういう人を連れてくればいいのかなー、と思っていました。将軍家みたいに無駄に無敵のところはないし。
と思っていたら、企業戦士YAMAZAKIはうまい答えを出してくれたな、という感じです。これは90年代、バブル不況まっただ中のビジネス界を舞台にしたSFコミック。過労死しながらもサイボーグとしてよみがえったスーパービジネスマン山崎の活躍です。
毎回読み切りで、低迷する企業とそこの迷えるビジネスマンが主人公。そこに、山崎が派遣されてくるわけです。山崎の提案する斬新な新商品。息を吹き返すその会社。しかし主人公の抱える問題はまだ残ったまま。そこにライバル企業のサイボーグが現れ新企画を横取りしようと襲いかかる! しかし山崎の放つ超兵器の一撃に敵サイボーグは倒れ、山崎の戦う姿に主人公の心のわだかまりは消えてめでたしめでたし、というのが毎回のパターン。
ここで出てくる新商品ってのがどれも結構面白くて、まあ大体は10年後の今から見ると噴飯ものの困った商品だったりするわけですが、中には10年後を見透かしたかのような恐ろしい企画があって(デジカメとダイレクトプリンタのセットとか、全チャンネルを録画し続けて後から呼び出せるビデオとか)ちょっとなめられない。
それでまあ、この定型ストーリーぶりが完全に水戸黄門なわけ。最後に殺陣が入るのもまさに。
それじゃ印籠の代わりは? これが、山崎が戦いで傷つき(と言うよりはスクラップにされかけ)ながら放つ「くさいセリフ」なのです。これが毎回結構かっこいい。主人公はこれに触発されて吹っ切れてハッピーエンドになります。
印籠とは全然違うけどね。でも江戸時代の水戸黄門に比べて、人を動かすのが権力ではなく本人のやる気になっているというのは、今の方がいい時代と言うことかな。それとも、そうであったらなあというメルヘンなのかな。