全部が歌詞!

冬の定演シーズンまで間がある今頃の時期は、大学同士のジョイントコンサートが多いんです。今日のも先週のような三大学の合唱団の合同演奏会「虹の会」。
この時期は入ったばかりの一年生をどこも抱えているから練度にばらつきのあることが多いんだよね。本格的なコンサートをやろうと言うところは、早混みたいに上級生だけでやってしまいます。ただ、それにしても今夜のはやや残念めだったなあ・・・。聴く前から内情を聞いて知ってたってのもあるけど。
第1ステージは成蹊大学で『風の詩集』(吉岡弘行)。いい詩を使ったさわやかな曲集です。でも、同じようなフレーズがくり返し出てくるので放っておくと単調になっちゃう。そこら辺はもうちょい味付けが欲しかったです。あとは、アンサンブルが脆くてフォルテになるとがらっと崩れがちだったのが惜しかったかな。
第2ステージは武蔵大学リーデルクランツ『花に寄せて』(新実徳英)。言わずと知れた名曲。こちらのアンサンブルは確実。特に下3声のコーラスが良かった。作曲者の意図もよく理解しているように感じました。でも声にどうも芯のないのが気になった・・・。盛り上がるところで、どうも物足りなさを感じてしまうのです。
休みをはさまず第3ステージが成城大学(コンクールみたいだ(^^;))。『IN TERRA PAX』(荻久保和明)。終曲の表題曲だけが有名だけど、やっぱりこの歌は5曲まとめて聴かないとそのすごさはわかんないでしょう。4曲目まではとにかく暗くて切ない。悲惨で悲惨で、それでも平和を求めるんだ!、っていう決意が唯一さわやかな終曲なのです。しかしテナーしっかりしてくれと。
なんかすごかったのが最後の合同ステージ『遠い島の友へ・・・』(高橋悠治)。掲載してある歌詞をみると、なんかどこからが詩でどこが解説文なのかよくわからない。まさか全部が歌詞・・・? そのまさかでした。済州島の暗い過去と死生観、風の哲学なんかを歌にしたと言うよりはピアノ付きで抑揚を付けて語っていると言った方がいいような曲。難解です。面白いとは思うんだけど、この初演がそのまま最後の演奏になってしまう確率がかなり高いんじゃないすかね・・・。