誰かがやらないと

病院にもブラックリストがあります。過去にトラブルを起こしたなどの理由で、診療をお断りすることになっている患者さん。例え救急隊からの受け入れ要請でもブラックリストに入っていると普通は断られてしまう。
今日来たおばちゃんは、うっかり救急要請を受けてしまったというブラックリストの人でした。こちらに搬送されてから気付いたパターン。でも来てしまった救急車を帰すわけにも行かない。そもそも近隣の病院ほとんどでブラックリストに入っているらしく、かかりつけ先さえ受けてくれていなかった模様。まあ、どこかが診ないといけないのです。
さて、診療内容自体は利尿剤だけで済む簡単なもの。でも、大変なのはそこじゃない。
身寄りのない一人暮らし、自力歩行できず、入浴・トイレも自分で行けない、攻撃的で正常な会話が出来ず、福祉の担当者からさえも避けられている、というかなり難しい状態。世話をする人がいなくて自分でトイレに行けないということは・・・どういう匂いがするかは推して知るべし(厩舎のおがくずを換える作業のときの匂いが一番近かった)。
そして、手持ちのお金もなく、深夜にタクシーがわりに救急車を呼んでしまっているから帰りの足がない。面倒だからと入院にすれば確実に院長にものすごく怒られる・・・事務当直さんが。そもそも入院理由がないんだけど。
思案の末、「ブラックリストをよく確認しなかったのが悪かったから」と事務当直さんのポケットマネーでタクシーに乗せることに。車椅子の移乗の人手が必要なのでおいらも同乗。タクシーの運転手さんには50回くらい平謝りしてお世話になりました。救急隊の人からも同じぐらい平謝りされたっけ・・・。
しかし福祉ってのはどう充実させようとしてもその網にもれちゃう人ってのは出てくるもんです結局。特に日本は遅れているとは言え、精神福祉は一番難しい。そういう行政の一番泥臭い部分をやっている役所の人たちには、ほんとに尊敬。