乗ろうよ乗ろうよその話

東シナ海のガス田開発問題はいよいよ平行線に入って混迷の匂いがぷんぷんです。いつになったら使えるようになるんだあのガスは!
中国の強硬に見える姿勢に対し、日本国内では腹を据えかねる向きも多いよう。しかし、見方を変えて中国側の立場から事態を眺めてみましょう。そういう目で見ると実は中国、かなりの譲歩をしていることになります。あり得ないくらいに。
まず問題の第一が、経済水域の中間線の定義が日中で食い違っていること。これについては、どちらが正当かという議論は難しい。正当性に関する論理はどうしたって言ったもの勝ちだからね。資源目当てで中国は今の中間線を主張しているんじゃないの? なんていう突っ込みもあろうけど、まずは食い違っている、という事実にだけ着目していきましょう。
もうひとつの問題はガス田が日本の主張する中間線(日本線と呼ぶことにしよう)をまたいで両側に広がっていること。どこで開発しても、両側の資源を採掘してしまうことが可能になります。
さてまず中国。日本線より中国側でガス田開発をさっさとはじめました。日本はそれまで、日本線より日本側でも当り障りのないように開発を控えていたのに。そこで日本は抗議します。日本側の資源まで採掘する気かと。ただ、この時点で中国はすでにある程度日本のメンツを立てています。少なくとも日本の主張する中間線は越えずに開発を始めたわけだから。
さて日本、国内世論にも押されて日本線より日本側での資源調査が始まります。ここで中国、「そこはこっちの中間線より中国側だよ」と抗議してくるわけですが、どうも本気ではない。調査船が警告を受けるといっても2週間にいっぺんくらい。明らかにその気ではなくポーズだけの警告です。そして、外交ルートで共同開発の話。
共同開発は、日本線より日本側でいっしょに掘ろうよという案です。実は資源利用の面でも意味のある話で、要は遠い日本本土までLNGにして運ぶよりも近い中国までパイプラインを引いてしまったほうがコストが安いという面があるわけですが。
そこで日本側が難色を示すのが、開発海域が日本線より日本側に限られているということ。ただし、その前の日本の立場を考えるとこの話は乗ってしかるべきだと考えていますおいらは。
そもそも中国側での開発に日本が異を唱えたのは、「どこで開発したって両側の資源が吸い出されてしまう(おそれがある)から」。日本側でだけ共同開発したとしても「両側の資源を吸い出せる(かもしれない)」ことになります。開発地点はどこでだっていいことになる。
もちろん、本当につながっているかどうかはもっと調査をしてみないとわからないわけだけど、前者の論理でいちゃもんをつけた以上は後者の論理を甘受しないとバランスが取れません。まあ、中国がそれまで調査データを出したがらない理由もそこにあるんだろうけど(「つながっている」と言えば中国側開発への圧力が強まるし、「つながっていない」と言えば共同開発はつぶれる)。それにしたって、中国からすれば完全に中国側の海域でやろうというわけで、あの国にしてはかなり譲歩をしているんだから。
おそらく、日本の外務省もその辺まで考慮済みではないかと思います。すなわち、ごねては見せても最終的に共同開発案を受け入れるつもりではないかと思うのです。ごねる理由があるとすれば、受け入れることで最大限の譲歩をしたという形を作って恩を売り、何かしらの対価を得ようとしている、そんなところではないかな(これ関連の対価ってどんなのがあるかな・・・? まさか沖ノ鳥島?)。