葉加瀬太郎『Traveling Notes』

クライズラー&カンパニーの頃から聴き続けている葉加瀬太郎、一応これが最新盤になるのかな? タイアップアルバムが多いので何枚目のアルバムと数えにくい人だけど・・・
前作(ということになるんじゃないかと思う)『Violinism II』がアコースティック一本だったのに対して、今度はK&K時代のような現代楽器とのフュージョン、さらにあの頃にはなかったラテン音楽の香りが強い音楽。日曜日の午後にちょうどいいな。
聴き続けているといいながら、実はバイオリニストとしての葉加瀬太郎はあまり好きではありません。初めてK&Kを聴いたときから「なんて攻撃的なバイオリンだ」というのが第一印象だったくらいだから。ではどの辺が好きで聴いているのかというと、作曲家としては大好きだから。決して自己満足に逃げない完成度の高い構成、確固とした作風。作風がしっかりしているから以前の曲でも全然古い感じがしないんだよね。彼の作曲で一曲選ぶとしたら、
シャコンヌ』の「Raindrops in My Eyes」だろうか。阪神大震災の神戸を応援する曲だから、もう10年前ってことになるけど。
で、最近またG-CLEF落合徹也のバイオリンと聞き比べてみて、葉加瀬のバイオリンのどこが気に入らないのかわかってきました。それは、聴き手の不自由さ。葉加瀬の演奏は「ここで感動しろ」というポイントがきっちり決まっているのです。こういうのは苦手。大衆にはわかりやすいんだろうけど。落合徹也は、作曲には閉口させられることも多いけど演奏は「楽しく演ってるから、あとはそっちの聴き方次第さ」という自由な音楽。聴けば聴くほど味が出てくるし、いやな刺激がないのです。
こういう好みは別に音楽に限らないところがあって、実は新聞選びなんかにも影響しています。日経をとっているんだけど、別に勉強のためでも株式投資がしたいわけでもない。政治的な立場をあまり強く示していないから。「学級委員長」朝日新聞とか「日刊街宣車」読売新聞も面白いんだけど、意見が強すぎてだめ。「考えるのはこっちだ! 新聞が意見を押し付けるな!」って不愉快になっちゃって。
・・・はっ! またCDの感想を全然書いていない。まあ、葉加瀬が作曲したのを落合が演ってくれないかなって。そりゃ無理か。多分全然気が合わないだろうしな。