なにを今さら・・・

全盲の医師国家試験合格者に、臨床研修の受け入れ先が見つからないそうです。

全盲者として全国2人目の医師国家試験合格者となった茨城県ひたちなか市の大里晃弘さん(50)の臨床研修を受け入れる病院が見つからない。研修の履修診療科が増えたこともあり、視覚障害者の研修に対応できる病院がないためだ。医師法では、診療行為をするには2年以上の臨床研修が必要。大里さんは「このままでは、夢だった精神科医になれない」と頭を抱える。厚生労働省も「制度の“谷間”といえる。相談に乗りたい」と欠陥を認め、対応に乗り出す構えだ。

▽医事評論家の水野肇さんの話 率直に言って、医師の仕事の中には、目の不自由な人にはできない分野はある。しかし、精神科は可能だと思う。国家試験に合格して基礎的能力は持っているわけだから、臨床研修について、何らかの例外規定を設けるべきではないか。このままでは、ハンディキャップを克服して国家試験に合格した人を裏切ることになってしまう恐れがある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050513-00000064-mai-soci
初めて全盲の医師が誕生したのが2年前。それまでは、医師国家試験の受験資格に視覚障害者を禁じる規定、いわゆる欠格条項があってそれが4年前に撤廃されたのを機にしてです。
当時、このことを「差別がまたひとつ撤廃された」とマスメディアは無邪気に喜んでいたものです。差別が存在することと、それが不当であることとはまた別次元のお話。そうでしょう? いくら国試に受かろうが、全盲では医師の職務はいくら何でも無理なんてことは、当時からわかっていたはずのこと。
精神科医だって全盲じゃ無理なのです。精神科病棟でだって患者さんは肺炎を起こしたり転倒して怪我したりする。レントゲンも読めない受傷部位の確認もできないではとても務まらないのです。早い話、患者さんの顔色がおかしくても気付くことのできないんだから(看護婦さんが気付くだろうというのはやや違う。診断は職務外であり、責任を問うことができなくなるので)。
そもそも国試を課している時点で、学力による差別をしているわけです。「差別」狩りの愚かさにみんなそろそろ気付こうよ。