合唱野郎どもをケンカさせる方法

合唱人の集団をケンカさせたければ簡単です。非常に簡単。「音は平均律と純正律、どっちでとればいいの?」と聞いてみるだけ。純正律支持派は少数派である割に強いこだわりを持っていることが多いので、その勢力比が余計議論をヒートアップさせます。
ちょっと解説すると、平均律は一般的なピアノで採用されている音階で、半音=周波数21/12倍、として音階を積み重ねていったもの。半音の幅が一定なので移調が自由である代わり、周波数比が有理数でないのでピタゴラスの説いた「整数比の周波数を持つ音=和音」を完全には再現できません。
そして純正律は、半音の幅が一定にならないながらも周波数比2:3(完全5度)と4:5(長3度)を積み重ねることで全12音階を構成したもの。2,3,5の倍数の整数比を自然に再現できますが、調は固定されます。移調すると全然別の音程になってしまうもんね。
ただし、おいらはこの議論を見るといつも不毛だなと思ってしまうのです。人間の音程感覚なんてどうせかなりいい加減だからってのもあるけど、ハモることと純正調であることはイコールではないと思っているから。
G7のコード(ソシレファ)をみてもわかるでしょう。この和音の周波数比は4:5:6:7。7という約数が入り込んでいる以上、純正律ではどうやっても再現できません。こういう音は本当にハモらそうと思ったら結局平均律でも純正律でもない音程へ微調整することになるんだから、どちらが正しいかなんて議論をすること自体が不毛、そう思うわけです。