透ける対立

上海市当局は十五日、無許可デモは「違法行為」として取り締まる方針を発表したが、燃えさかる学生の反日行動を抑え込むことはできなかった。ネット上では当局の足元を見透かすように「五百人以上集まれば警察は黙認」との“内部情報”が流され、最後までデモ参加の呼びかけが続いていた。

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20050417/mng_____kok_____005.shtml
上海市の姿勢が暴動抑制から容認へ急に変わったところを見ると、当局内でも意見の対立がかなりあるんだろうなと見て取れます。対立軸は、経済担当部門と思想担当部門というところでしょうか。
経済政策上、あの暴動は中国自身にとってかなり危険です。なにしろ沿岸地帯は空前の投資ブームで、当局は何とかソフトランディングを目指しているところ。ここで急に「やはり政治リスクの大きい国」というレッテルが貼られて海外の投資が落ち込むといきなりバブル崩壊ということになりかねません。今の中国の外交戦略を支えているのが特に経済面での成長性という魅力なのだから、日本の失われた十年みたいな状態になったらアメリカにもそっぽを向かれ台湾問題も南沙諸島もどうなるかわかったもんじゃない。
かといって思想部門としては暴動をただ抑制するわけにはいかない。これまで宣伝してきたことの否定になるのはもちろんのこと、暴動の背景に社会の不満の高まりがあるのは明らかなだけに天安門の二の舞さえあり得るんだから。
どっちへ転んだって危険。まあ、国民をおもちゃにしてきたツケかな。