四次元なら無尽蔵?

ドラえもんドラえもんたるアイデンティティが、その秘密道具のすべてをしまっている四次元ポケット。登場頻度は最も高い、というか登場していないことがあり得ない最重要の道具なのに、その仕様はよくわかっていません。ポケットをのぞき込むとどうなっているのか? 中の空間はどうなっているのか? なんで手を突っ込むだけで膨大な道具の中から目的のものに手が届くのか? そもそも四次元だとなんでも小さなポケットに収めることができるのかと。
ここはあくまでも、何とか実現できるものと仮定してその仕様を探りましょう。まず、四次元ってどういうことか。一般的には三次元空間に時間軸をあわせて四次元の時空と言うけど、この場合はむしろ、空間軸が4本ある、本当の意味の四次元空間といった方が正しいでしょう。空間の次元を高めると、低い次元の空間から見ればコンパクトに空間を折りたたむことができますから。
例えてみましょう。都市は、地面に建物が並ぶので二次元の構造をしています。でも狭くなってくると、超高層ビルを建てて各階にテナントを入れることで、地図上での専有面積をぐっと減らすことができます。上へ伸びるという三次元構造にしたことで地面という二次元ベースでの空間をコンパクトにしたわけ。
それを四次元空間に拡大するのが四次元ポケットでしょう。四次元空間において、現実三次元空間と交差する別の三次元空間を用意します。直線同士が交わるのは点、平面同士が交わるのは直線、だから空間同士が交わるのは平面です。現実空間から、ある平面で空間の接続方向を折り返して交差する空間へ導いてしまう。その平面がポケットの入り口です。それを実現する機械部分もこの別空間内に格納してしまえばいいのでとてもコンパクト。
そこから中を覗くとどうなっているか。たぶん球形か正方形の、そんなに広くはない有限の空間です。端は壁になっているかもしれないけど、端同士でつながっているかも。中にはおそらく重力はなく、道具は自由に漂っています。
ドラえもんはポケットの中を探っているとき何をしているのか。たぶん、自由に漂っている道具が手に当たるたびに、手触りでそれが何か見分けて取り出しているんじゃないかな。