こういう統計ってどうなんだろ

自殺者の血中ニコチン濃度は、その他の死因の死者に比べて3.5倍という高さを示していたそうです。つまり、喫煙本数の増加は自殺のサインかもしれないと。ニコチンが自殺の原因になっている可能性があると。

たばこを吸う習慣がある人のうち、自殺した人の血液中のニコチン濃度は、事故や病気で死亡した人に比べ約3.5倍も高いことが、高知大医学部の守屋文夫助教授(法中毒学)らによる司法解剖例の調査でわかった。自殺とニコチン濃度の関係を調べた研究は初めてという。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20041017k0000m040113000c.html
うーん、論文のほうを読んだわけじゃないからなんとも言えないけど、この調査結果からこの結論が導けるのかなあ? まず、この調査結果から言えることは「死ぬちょっと前までにすったタバコの量は、自殺であるかどうかに相関する」ということだけ。相関があるというのは結構難しくて、どちらが原因であるかは示してくれません。極端な話、血圧の高い人は塩分の摂取量も多かったという調査結果が出たとして、これだけでは塩分が高血圧の原因とは結論できないのです。因果関係が逆(血圧が高いと塩辛いものが食べたくなる)のかもしれないし、共通の原因を持っている(血圧を上げ、塩辛いものを食べたくなるような疾患がある)のかもしれないから。
ニコチンの場合はどうか。自殺する人が最後の一服を吸うことが多いんじゃないかということは簡単に想像できます。自殺でない人のうち病死の人が、末期の段階ではタバコを吸えるような体力でないことも簡単に想像できます。この辺の議論はちゃんとクリアした上でああ結論したのかな、と疑問が残るわけ。